相続財産の評価方法
人が亡くなると、その人の財産について相続が発生します。そして相続される財産(相続財産)の価格が一定の金額を超えると、相続税の申告・納付が必要となります。相続財産の価格には、預貯金のようにそのままの金額のものもあれば、不動産や株式のように金額の評価が必要なものもあります。今月はそうした相続財産の評価の方法や注意点についてみていきましょう。
【相続財産の価格(評価額)】
相続税法では、相続財産の価格は「財産の取得の時における時価」による、と定めており、財産の取得の時というのは相続開始日(財産を元々持っていた被相続人が亡くなった日)を指します。
相続財産を評価するための基準として、国税庁では「財産評価基本通達」を定めていて、相続税や贈与税を計算する際にはこの通達にしたがって財産の時価(相続税評価額)を算定します。
【不動産(土地・家屋)の評価】
財産評価基本通達に基づく土地の評価方法は2種類あります。路線価が定められている地域の土地は「路線価方式」、定められていない地域の土地は「倍率方式」で評価します。路線価方式では、道路ごとに定められた、その道路に面する土地1㎡あたりの評価額(路線価)を元に計算し、倍率方式では自治体が定める固定資産税評価額を元に計算します。なお、土地を他人に貸していたり、土地の上に賃貸物件が建っていたりする場合、土地の相続税評価額は一定の割合で下がります。
家屋の評価は原則として固定資産税評価額を元にしますが、土地と同様、その家屋を自分で利用していたか、他人に貸していたかで評価額は異なります。(方法の詳細はお問合せください。以下同)
【株式の評価】
株式の評価方法は上場株式と非上場株式で異なります。
上場株式は証券取引所で売買されている株式で、価格が日々変動しており、その相続税評価額は、時期や算定期間の異なる4種類の価格のうちの最も低い価格となります。
非上場株式は、類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式の3つの評価方法があり、相続した人の持ち株割合や、評価する会社の規模等に応じて、選択できる評価方法が決められています。
【生命保険金・死亡退職金の評価】
生命保険金や死亡退職金※1は本来の相続財産ではありませんが、相続税が課税されます。ただし、いずれも相続税の非課税枠があり、それぞれ「500万円×法定相続人※2の数」が非課税額となります。
※1 亡くなった被相続人の勤務先から遺族が受け取る退職金。詳しくはお問合わせください(以下同)。
※2 相続の放棄があった場合、その放棄がなかったものとした場合における相続人。
生命保険は契約の仕方によってはこの非課税額が適用されない場合もあるため注意が必要ですので、詳しくはお問合せください。
なお、相続税は相続財産の価格が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人※2の数)を超える場合に発生します。例えば、法定相続人が配偶者と子2人の場合の基礎控除は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となり、相続財産の価格が4,800万円を超えなければ、相続税は発生しません。
相続税の申告・納付は相続開始から10ヵ月以内に行う必要がありますので、ご注意ください。