ふたば便り

令和5年度の税制改正大綱

2022年12月16日、政府与党は令和5年度税制改正大綱を発表しました。正式に決定するのは3月末の国会通過後になる予定ですが、今回はその一部についてみていきましょう。

<相続税・贈与税>

  • 相続時精算課税制度の見直し

相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた人は、令和6年1月1日以後に特定贈与者(相続時選択課税制度が適用された贈与者)から贈与を受けた財産について、従来の2,500万円の贈与税の特別控除とは別枠で、年間110万円までの基礎控除を受けられます。また、相続発生後の相続税の計算において相続財産に加算される金額も、贈与財産の価格から上記の基礎控除を差し引いた後の残額となります。

  • 相続開始前贈与の加算期間の延長

暦年贈与によって生前に贈与を受けていた場合、相続開始直前3年間に贈与された財産については相続財産に加算されていますが、これが相続開始直前7年間に延長されます。令和6年1月1日以後の贈与分から適用されることになります。

<消費税>

  • 小規模事業者のインボイス制度の納税負担の軽減

免税事業者からインボイス発行事業者(=課税事業者)になるなど一定の要件を満たす小規模事業者は、令和5年10月1日~令和8年9月30日までの日の属する課税期間は、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割の金額とすることができることとなります。

  • 中小事業者等のインボイス制度の事務負担の軽減

課税売上高が1億円以下等の一定の中小事業者は、令和5年10月1日~令和11年9月30日までの間に行う対価が1万円未満の課税仕入について、インボイスの保存が無くても一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができることとなります。

<その他>

上記以外にも法人税や所得税関連の改正として、⑤中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制の対象資産見直しの上での適用期限2年延長、⑥電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の要件緩和や猶予措置の見直し、他が予定されています。

税制改正大綱にはこれ以外にも多くの項目が記載されており、年明け早々の国会審議の行方に注目です。

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