令和6年度の税制改正大綱
昨年12月14日に政府与党は令和6年度税制改正大綱を発表しました。正式に決定するのは3月末の国会通過後になる予定ですが、今回はその一部についてみていきましょう(詳細はお問合せください)。
<個人所得課税>
- 所得税、個人住民税の定額減税
令和6年分の所得税と個人住民税について、定額による特別控除(減税)が実施されます。特別控除の額は、納税者本人及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税が各3万円、個人住民税が各1万円となります(ただし、給与収入が2千万円超の高額所得者については対象外となります)。この特別控除は、令和6年6月以降の所得税の源泉徴収又は予定納税、住民税の特別徴収又は普通徴収の額から差し引く形で実施される予定です。
<資産課税>
- 住宅取得等資金に係る贈与税の特例の期限延長
直系尊属(父母や祖父母等)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一部要件見直しの上、適用期限が令和8年12月末まで3年延長されます。
- 事業承継税制の特例承継計画等の提出期限の延長
事業承継時の贈与税・相続税を納税猶予する法人版事業承継税制は、事前の特例承認計画の提出が要件となっていますが、特例承継計画の提出期限が令和6年3月末から令和8年3月末までに2年延長されます。個人版事業承継税制の個人事業承継計画も同様に2年延長されます。
<法人課税>
- 賃上げ促進税制の拡充
賃上げ促進税制(給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度)について、中小企業は控除限度超過額が5年間繰越し可能となり、上乗せ措置等の見直しの上、適用期限が3年延長されます(令和9年3月末までに開始する各事業年度)。
- 交際費等の損金不算入制度の見直しと期限延長
一部が損金不算入となってしまう交際費等に含めなくてもいい飲食費に係る金額基準が、令和6年4月1日以後に支出する飲食費について、1人当たり1万円以下(現行:5千円以下)に引き上げられます。接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例(年800万円まで損金算入可)の適用期限は3年延長されます(令和9年3月末までに開始する各事業年度)。
税制改正大綱にはこれら以外にも多くの項目の記載があり、年明け早々の国会審議の行方に注目です。