ふたば便り

交際費の留意点

 先月号でお伝えした令和6年度税制改正項目の中に、交際費から除かれる接待飲食費がこれまでの1人当たり5千円以下から1万円以下に引き上げられた、というものがありました。そこで今月は、交際費の留意点について見ていきましょう。

【交際費とは】
 交際費とは、会社がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者などに対して、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。交際費はそれが会社のために使われるものである限り全額が経費となるはずですが、税務上は政策的な理由などから一定の金額を超える部分は会社の経費として認めないことになっており、資本金1億円以下の法人では800万円を超える部分か又は接待飲食費(※)の50%を超える部分、資本金1億円超100億円以下の法人は接待飲食費の50%を超える部分と接待飲食費以外の交際費、資本金100億円を超える法人は交際費の全額が経費になりません。

(※)接待飲食費・・・得意先等を接待して飲食するための飲食代などで、ゴルフ代や旅行代、飲食を伴わないお土産代などは含まれません


【交際費を支出する際の留意点】
 役員の家族や個人的な友人とのゴルフ代や飲食費など、役員個人の私的な支出を会社の交際費に含めてしまうと、その支出が役員への給与とみなされて交際費の限度額とは関係なく全額が経費にならないケースもありますから注意が必要です。
 それ以外にも、寄付金、売上値引・割戻、広告宣伝費、福利厚生費など、他の費目との区別が難しい場合もありますので、詳しくはお問い合わせください。
 なお、なんらかの事情で交際費の支出相手先を明らかにできない場合などは、税務上は「使途秘匿金」として扱われて経費にならないばかりか、その支出額について別途課税される場合もありますので注意が必要です。

【交際費から除かれる少額の接待飲食費】
税制改正前は1人当たり5千円以下の接待飲食費が交際費から除かれていましたが(すなわちこの部分については支出の限度額無し)、令和6年度税制改正によって、令和6年4月1日以降に支出するものについては、1人当たり1万円以下の接待飲食費が交際費から除かれることになりました(納税者にとっては有利な改正)。
ただし、接待用の飲食費が対象なので、自社の役員や社員だけの社内飲食費などはこの接待飲食費に含まれません。また、飲食費が対象なので、以下のようなものも接待飲食費には含まれません。
・お中元やお歳暮の飲食物の贈答などの費用
・ゴルフや観劇、旅行などの催事に際しての飲食等に要する費用
・接待等を行う飲食店へ得意先を送迎するためのタクシー代など
 また、かなりテクニカルな話ですが、1人当たり1万円以下の判定を消費税込みと消費税抜きのどちらで考えるかについては、会社の経理処理を税込みで行っていれば税込みで判定し、経理処理を税抜きで行っていれば税抜きで判定します。

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