パリ・オリンピック
コロナ禍で開催が1年延期となった東京オリンピックから3年、今年はパリ・オリンピックが開催されましたね(この原稿が皆様のお手元に届く頃はパラリンピックの真っ最中ですね)。体操やレスリングなど、日本がメダルを期待されていた種目はいくつかありましたが、私が注目していたのはなんといっても柔道(の特に軽量級)でした。
前回の東京大会のときもやはり柔道のことをこの「毎日楽しく」に書いてたんですが(No.192の2021年8月号)、今回は阿部一二三・詩兄妹の兄妹そろってのオリンピック連覇を楽しみにしてました。が、兄の一二三選手は見事に金メダルを獲って連覇したものの、妹の詩選手はまさかの2回戦敗退となりましたけど・・。ただ、そんな番狂わせの一方、女子柔道の新しいヒロインとなったのが角田夏美選手でした。得意技は「腕ひしぎ十字固め」(渋い・・)と、なんと「巴投げ」。巴投げなんて漫画の世界の技で、実際の柔道で決まるのかな?なんて思ってたら、この人の巴投げは鳥肌が立つぐらいの一撃必殺のすごい技でした。なにがすごいって、世界中のライバルがみんな角田選手の巴投げを警戒して対策を取ってるはずなのに、それでも決めるんですから本当にすごい。仮に、巴投げで仕留められなくても、そこからすぐさま腕ひしぎ十字固めに移行する必勝パターンで、今回のオリンピックでは日本人金メダル第1号となりました。
すごいのはまだ続きます。角田選手も出場した男女混合の団体戦では、角田選手は自分より2階級(体重で10kg!)も上の今大会の銅メダリストを巴投げで投げ飛ばして一本勝ちしちゃうんですが、このときは思わず、ウルっときてしまいました。大会後のテレビのインタビューでは同じ金メダリストの阿部一二三選手が「角田選手の巴投げはヤバイ」と言ってましたし、女子柔道のかつての金メダリストで「野獣」と言われて注目された松本薫さんは、「自分は野獣と言われたけど、角田選手は史上最強の殺傷能力を持つ殺し屋。いい意味で」(笑)と言ってました(いい意味での殺し屋って・・)。今回の大会を見て角田選手のあまりのかっこよさにファンになってしまったのは私だけではないと思いますが、残念なのは、年齢的に(もうすぐ32歳)これが最初で最後のオリンピックになるかもしれないと言われていることです。大舞台での角田選手の柔道はまだまだ見たいですけどねー。
各競技で審判の怪しい判定が話題になったパリ・オリンピックでしたが、それにしてもスポーツは本当にいいです。ウクライナやガザ地区などでは戦争が続いてますが、こうした状況では世界的なスポーツの大会の良さがよりいっそう、際立って見えました。