西俊輔の「毎日楽しく」

今年のノーベル賞は

 今年のノーベル賞は10月7日の生理学・医学賞から始まり、14日に最後の経済学賞が発表されましたが、今回の話題のひとつに、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞がありました。核兵器の脅威が第二次世界大戦後でもっとも高まっていると言われる現在、被団協の受賞については世界各国から称賛の声が上がり、世界で唯一、核兵器を実戦で使ったアメリカの現職大統領や大統領経験者からも、今回の被団協の受賞をお祝いするメッセージが寄せられました。

  そして今回のノーベル賞のもう一つの大きな話題が、AIとグーグルがノーベル賞を席巻した、という点でした。ノーベル物理学賞を受賞したのはAI技術の中核を担う「機械学習」を研究したアメリカの2人の学者さんで、ノーベル化学賞を受賞したのはAIによってタンパク質の構造予測に成功したアメリカとイギリスの3人の学者さんでした。なんでも、「機械学習」がAIの基礎で、タンパク質の構造予測はAIの応用技術と言えるそうで、AI技術の基礎と応用分野でノーベル賞の物理学賞と化学賞を獲ってしまった、と話題になったそうです。

 おまけに、受賞した5人の学者さんのうち3人はアメリカのIT大手グーグルの関係者だったそうです。今回の物理学賞を受賞し、現在、カナダのトロント大学で名誉教授を務めるジェフリー・ヒントン教授もそのグーグルの関係者ですが、グーグルに所属したままでは同社が進めるAI事業の危険性について自ら発言できないということで、昨年まで10年間ほど勤めたグーグルを退社したんだそうです。で、そのヒントン教授は次のような「警告」を発信して注目されています。

 「AIが人類より賢くなれば人類に代わってAIが社会を支配する可能性があり、私の推測ではそれは早ければ5年、遅くとも20年以内に起こる可能性がある」。AIと人類の対立を扱った映画やドラマはたくさんありますが、実は私たち人類は、人類より賢い知的存在(生命体とは限りません)がどんなものか想像できないそうです。なのでほとんどの映画やドラマでのAIは人類と対等な存在として描かれてますが、なんといっても人類より賢いわけですから、そのうち、人が犬や猫、その他の動物をみるのと同じような感覚で人類をみるAIが出現するかもしれないと考えると、なんだかすごく怖くなりました。 

 AIは核兵器と同じかそれ以上の脅威になるかもしれないと言われてるそうですが、「AIの父」と呼ばれるヒントン教授の、AIは一刻も早く安全性を確保する研究を進めなければならないという警告は生かされるんでしょうかね・・・

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