西俊輔の「毎日楽しく」

2015年5月号 Vol.117

北海道では来年、北海道新幹線が開業します。 まずは青森と函館の間ですが、15年後の2030年度末には函館と札幌間での開業も予定しているそうで、これによって札幌と東京が新幹線でつながることになります。

ただ、北海道新幹線が全線開通する3年前の2027年には東京と名古屋の間で次世代の乗り物であるリニアモーターカーの開業が予定されていますから、来年の開業はともかく、札幌までつながる15年後にはリニアへの注目度の高さで北海道新幹線の影が薄くなりそうです…。

私自身は現在北海道に住んでいますが、ほぼ毎週のように東京に出張してまして、その交通手段は飛行機です。
ただ、こういう生活をしているのはもちろん私ばかりではなく、弊社とお付き合いしている北海道のある会社の方で、北海道と東京を毎週行ったり来たりする生活をもう8年も続けているという方もいます。

私の身近にはいませんが、日本と海外を頻繁に行き来している人ももちろんいますし、ほんの150年前までの日本における一般的な移動手段が徒歩だった時代を思えば、現代の私たちは短時間で驚くほどの距離を移動できるようになりました。
飛行機や電車、自動車といった移動手段のみならず、現代に生きる私たちにはテレビや冷蔵庫や洗濯機といった昔では考えられなかった便利な家電製品もありますし、遠くにいる人とは電話で話しをすることもできます。

私が社会人になったころ普及し始めた携帯電話も、いまやなくてはならない便利な機器です。
また、交通手段や各種の機器の発達によって、日本にいながら世界中の料理を食べることもできるようになりました。
そう考えると、現代に生きる私たちはある意味では数百年前の王様よりも豪華で贅沢な生活をしていると考えられなくもないわけです。

そもそもは人々の生活を便利にし、究極的には人々を幸せにするために発明されたと思われるこうした移動手段や便利な機器ですが、それでは、こうしたモノがなかった時代の人たちが現代の私たちよりも幸せでなかったかというと、必ずしもそうではないのはあえて言うまでもないでしょう。

つまり、どんなに世の中が便利になり、かつての王様でも経験できなかった生活ができるようになったとしても、当たり前ですが、人はそれだけでは幸せになれないということです。

モノやお金が人の幸せにとって決定的に重要な要素ではない、というのは、モノがあふれる現代の私たちにとってなんとも皮肉な感じがしませんか?

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