2014年06月号 Vol.106
先日、東京都内で電車に乗っていた時の出来事です。ラッシュの時間帯ではなかったため車内は比較的すいてまして、私が乗り込んだときには普通に座ることができました。ただ、その後はだんだんと混んできまして、座席前に立つ人も増えてきて、どこかの駅から乗り込んできた60代~70代と思われる方々数名が座席前のつり革を手に立ったときのことです。
私の隣には高校生ぐらい(私服だったので推測です)の女性2人組が座っていたのですが、私たちの目の前にその方々が立つやいなや、若い女性2人はサっと立ち上がって席を譲りました。大変申し訳なかったのですが、私自身も席を譲ればよかったなと気づいたのは、女性たちが行動を起こした後でした。
席を譲った後の女性2人は私のすぐ近くに立ってお互い会話をしていたのですが、たった今席を譲ったことについてはまったく話題に登場せず(すいません。若い女性の会話を盗み聞きというのは、決してほめられることじゃありませんね…)、オジさんの私からすると、会話の内容は幼い子供のそれで、席を譲ったという行動とその会話の内容のギャップにしばし考え込んでしまいました。
今も昔も、「今の若い者は…」なんてことがよく言われますが、いまどきの若い人たちは決してあなどれません。それどころか、今回ご紹介した例のように、大人(だと思い込んでいる)の私たちが若い人たちからハっとするような学びを得ることも決して少なくありません。
確かに、40代以上の私たちから見ると20代以下の若い人たちは頼りなく見えることも多々ありますけど、それは人生経験が少ないんですから当たり前のことであって、大切なのは、こうした、人としての「素」の良さを、まわりの私たちは活かせるようにしてあげるということなんでしょう。
私は、若い人に限らずほとんどの人がなにがしかの秀でたところを持っていると思っています。仕事で能力を発揮できていないとすれば、それは、会社側がその人の能力を発揮できるポジションを用意できてないだけという見方もあります。使えない人などというのはいなくて、使いこなせない経営者がいるだけ、なのかもしれませんね。