西俊輔の「毎日楽しく」

2017年11月号(Vol.147)

DVDやCDレンタル大手のTSUTAYA(ツタヤ)が、今年の3月以後、40以上の店舗を閉鎖しているというニュースが出てました。原因はもちろんネット配信の進展です。ネットによる音楽配信が広がってきたのが何年前だったでしょうか、それによって音楽CDが売れなくなったという話をずいぶん前から聞くようになりましたが、最近は通信技術や機器の急速な発達によって、映画やドラマなどの動画配信もストレスなく見られるようになり、音楽CDに続いてDVDなどの売上も減少しているといいます。

ネットで映画やドラマが見られるようになれば、当然、DVDなどのレンタルも減り、実店舗は不要になります。それでもお客様からすれば、借りたDVDなどを返却する必要もなくなりますので、より便利になったわけです。

ITやネット関連の企業が業績を伸ばして巨大な企業になっていく現在のような知識型の社会では、これまで隆盛を誇った大企業があっという間に衰退していく厳しい環境の中で競争が行われています。そんな環境の中で勝ち残っていくためには、これまで以上に優秀な人材の確保が重要なポイントになると言われ、そのためには性別や人種、宗教、年齢などで社員を区別することなく、世界中から優秀な人材を集めなければなりません。

日本でスマートフォンが広がるきっかけを作ったと言われるアップルの iPhone ですが、ソニーがかつてウォークマンを発売して世界中でヒットさせたにもかかわらず、最近のソニーはなぜ、iPhone (のようなヒット作)を作れないのか、と言われることもありますが、もしかするとこれも、移民の受け入れなどがなく、大多数の経営者や幹部社員が日本人で構成される日本企業に比べて、アメリカの企業には世界中から優秀な人材が集まることが関係しているのかもしれません。もっとも、そのアップルですら、iPhone以後のヒット作が出ないと最近よく批判の対象になりますから、現在のビジネス環境の変化の速さと激しさは本当に厳しいものがあります。

こうした世の中の動きは私たち中小企業と無関係な話では決してなく、最近よく聞く長時間労働の抑制といった働き方改革も日本の競争力を維持する人材確保策の一環ですし、自社の事業が今後も生き残っていける分野なのか、そうでないのかはまさに、世の中の動きを見ないとわかりません。大企業があっという間に衰退する厳しさがある一方、中小企業が大企業に勝つ可能性もあると言われる現在は、そういう意味ではチャンスに恵まれているというう見方ができるのかもしれませんね。

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