西俊輔の「毎日楽しく」

2019年3月号(Vol.163)

 競泳女子のエースで、次のオリンピックでもメダルが期待されている池江璃花子選手が先月、自身が白血病と診断されたことを公表して話題になりました。オーストラリアでの合宿中に体調不良を訴え、日本に帰国してから入院しているそうです。

 14歳のときオリンピックで金メダルを取った岩崎恭子さんの印象のせいか、水泳って年齢が若いほど強いのかな、という私の勝手なイメージもあって、日本新記録を連発して勝利を重ねる現在18歳の池江選手も、ひょっとして今がピークなのかなと思ってしまいますが、実際はどうなんでしょう? そんな中、4年に一度しかないオリンピックを目前に控えて、しかも、一生に一度あるかないかという自国でのオリンピック開催なのに、なぜ今このタイミングで・・・と、ご本人の気持ちを思いやって多くの人が同情していると思います。しかし、あたりまえのことですが、オリンピック以上に、なにより白血病という命にかかわる病気と診断されたご本人の無念さははかりしれませんし、池江選手のおばあちゃんは、水泳やオリンピックなんてどうでもいいから長生きしてほしい、というコメントをしていたそうですが、まったくそのとおりだと思います。芸能人を含めて多くの人が白血病から復活していますから、池江選手はまずは治療に専念してほしいですよね。

 松下幸之助さんはかつて、逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることが大切で、素直さを失ったとき逆境は卑屈を生み、順境はうぬぼれを生むと言っています。逆境はその人に与えられた尊い試練であり、これに鍛えられてきた人は本当に強いとも言っていたそうです。また、稲盛和夫さんも、自分が置かれた厳しい環境をネガティブにとらえて卑屈になり、恨みつらみを募らせていくのか、それとも、その厳しい環境を自分を伸ばしてくれる機会としてポジティブに受け取るのか、いずれの道をとるのかによって、行き着くところが大きく異なるのは仕事も人生も同じことだと、やはり松下幸之助さんと同じようなことを言っています。

 池江選手はまだ18歳と若いのに、病気を公表したあとのコメントをみてると、そんな助言はいらないほど達観しているようにもみえますが、いずれにしてもまずは病気を治して、水泳やオリンピックのことはその後ゆっくり考えればいいですよね。もちろん、水泳もオリンピックもあきらめないでほしいですけどね!

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