西俊輔の「毎日楽しく」

映画と事故から日常と非日常を考えた|2020年1月号(Vo.173)

あけましておめでとうございます。

9連休の長いお休みになった方も多かったと思いますが、みなさま、令和最初の年末年始はゆっくり過ごすことができましたか?

今年はいよいよ東京オリンピックの年ですが、2020年もみなさまにとって良い一年になりますよう、心からお祈りしております。

 さて、先日、クリント・イーストウッド監督の「15時17分、パリ行き」という映画をテレビで見ました。

これは2015年にオランダのアムステルダム発パリ行きの特急列車内で実際に起こった無差別テロ事件を扱った映画ですが、ご覧になった方はいますか?

実話を扱った映画は数多くありますが、この映画のすごいところは、実際の事件に巻き込まれて、テロ犯を取り押さえるのに活躍した本人たちを役者として出演させたところです。

もちろん、この3人は俳優などではありません。

また当時、列車に乗客として乗り合わせた乗客本人たちも可能な限り本人役で出演し、撮影そのものも実際に事件が起こった現場で撮影するという徹底ぶりだったそうです。

映画は90分程度のそれほど長くないものですが、序盤は幼馴染みだった3人のアメリカ人男性たちの少年時代、中盤はその3人が大人になってヨーロッパをのんびりと旅行する描写がただただ平和に続きます。

あまりにも普通で、知らずに見てると旅行のドキュメンタリーものかと思うぐらいなんですが、それだけに、映画の終盤、事件が起きてからの非日常性との対比がすごく印象に残ります。

イーストウッド監督も、テロや事故といった非日常的な出来事は、なんでもない日常の中である日突然起こり、ごく普通に生活している人たちがそこに巻き込まれることになる、と言ってるそうです。

また、テロに立ち向かうのは、映画やドラマによくある別世界のヒーローなどではなく、映画を見ているあなた自身かもしれない、というメッセージも込められているそうです。

 日本でも、2018年6月に起きた東海道新幹線車内での刃物による無差別殺傷事件で、他の乗客をかばった男性一人が亡くなるという痛ましい事件がありましたし、和歌山では、工事中のビルの屋上から落ちてきた鉄パイプがたまたま下を通りかかった人に当たって、その人が亡くなってしまうという事故もありました。

まさに、事件や事故はなんでもない日常の中である日突然起こるわけですが、私たちにできるのは、いつ何が起きても悔いのないよう、毎日を大切に生きることぐらいなのかもしれません。

もちろん私は、テロなどに巻き込まれたとき、それに立ち向かうことなんてできないと思いますしね・・・。

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