西俊輔の「毎日楽しく」

2020年2月号(Vol.174)

前月に続く映画の話で申し訳ありませんが(前月はクリント・イーストウッド監督の「15時17分、パリ発」という映画の話題を書きました)、スティーブン・スピルバーグ監督の「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」という映画を見ました。

 

日本で公開されたのは2年前でしたが、最近、テレビでやっていたのを見ました。タイトルになっている「ペンタゴン・ペーパーズ」というのは、今から50年近く前のベトナム戦争中のアメリカで作成された、アメリカによるベトナム戦争への関与を分析した文書のことで(ペンタゴンはアメリカ国防総省のこと)、この戦争に関してアメリカ政府が多くの政策的失敗を重ねていたにも関わらずその事実を国民に隠し、ベトナムの戦場で多くのアメリカ国民が命を落としているそのさなかにもなお、戦争を継続しようとしていたことが暴露されていました。

 

当時のアメリカ政府はもちろんこの文書を最高機密扱いにして公表しようとはしませんでしたが、ペンタゴン・ペーパーズの執筆者の一人がこれを密かに持ち出し、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった新聞社を通じて世間に公表するまでの出来事を事実にもとづいて再現したのがこの映画です。

 

ただ、映画の主人公は文書を持ち出した人ではなく、ワシントン・ポストの社主の女性と編集局長の男性記者で(もちろん実在の人物)、国の最高機密文書を新聞で公表することによって、反逆罪やスパイ罪といった罪に問われて投獄されるかもしれないリスクがある中で、公表を決断するまでの物語になっています。

 

受賞は逃したもののアカデミー賞にもノミネートされるぐらいだったので大変面白い映画でしたが(スピルバーグ監督ですしね)、なにしろ、当時のアメリカ国民なら誰もが知ってる事実を描いた映画ですから、国が国民を騙して戦争をさせるという事実が現在のアメリカ政府の姿とも重なって、その意味でも面白い映画でした。

 

 もちろん、第二次大戦中の日本だって「大本営発表」という、事実でないことを発表して国民を騙していましたから、こうしたことはどこの国でも起こりうることですし、今現在の日本でも無いとは言えません。政府のウソを見抜くのは、情報源が限られている一般国民にとって難しいことですが、少なくとも政治家には誠実な人を選びたいものです(その判断も難しいか・・・)。

 

そういえば、日本によるハワイ真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争も、そうなるよう仕向けたアメリカ政府による陰謀だった、なんて話もあるそうですが、こちらは事実が明らかになる日はくるんですかね?

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