西俊輔の「毎日楽しく」

失ってみて初めてわかる有り難み|2020年10月号(Vo.182)

今回の新型コロナウィルスによって、私たちの生活様式は大きく変わりました。近い距離で人と会話するときにはマスクをするようになりましたし、いわゆる「密」になる状況も無意識に避けるようになりました(気にしない方々もまだまだ多いようですけど・・・)。

ワクチンや治療薬が開発されれば、コロナ以前の生活様式に戻る部分もたくさんあるのでしょうけど、会社に出社しないとか、社内会議やお客様との面談などをウェブ会議で行う、いわゆるリモートワークはコロナ後も定着するのではないかと言われています。

会社への通勤時間を考えなくてもよくなれば、勤める人たちはこれまで以上に住む場所を自由に選べるようになりますし、会社にとっても、街中で高い賃料のオフィスを借りる必要がなくなるメリットは小さくありません。そういう意味で、「禍(わざわい)」には違いない今回のコロナ禍が良いきっかけになった部分は意外に多くありますが、以前は意識しないで普通にできていたことができなくなったことによる、失ってみて初めてわかる有り難み、を気づかせてくれたという点でも、今回のコロナ禍は良いきっかけになっています。

多くの方々にとって友人・知人との会食や飲み会など、外で普通に食事ができなくなったことは大きなストレスになっていると思いますし、スポーツ観戦や演劇・舞台観劇を日常的に楽しんでいた方々にとっても、これらを普通にできないことは大きなストレスになっているでしょう。もちろん旅行が好きな人たちにとっても同様です。それでも、お客として利用する私たちはその程度で済んでいますが、飲食店などを経営する側や関係業界の方々にとっては売上が無くなるわけですからストレスで済む話ではありません。

誰にとっても望ましくない現在のような状態はもちろん一刻も早く解消してほしいものですが、多くの方々が以前の生活様式の有り難みを感じているのは間違いないと思います。健康や大切な人との関係性など、ふだんはその有り難みに気づかないことが実はけっこうたくさんありますが、それを失う前に、日頃からこうしたことに感謝することができれば、私たちは今よりもっといい人生を過ごせるようになるかもしれませんね。

そういえば、7年8か月という日本の憲政史上最長の長期政権となった安倍政権は、日本国内よりむしろ海外での評価が高かったようですが、安倍さんもひょっとしたら、失ってみて初めてわかる有り難みを感じる総理大臣になるんでしょうかね?

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