西俊輔の「毎日楽しく」

DXをデラックスと読んではいけません|2020年11月号(Vo.183)

最近、新聞や書籍などで「DX」という文字を見かける機会が増えました。この文字を見て反射的に「デラックス」と読んじゃうのは私だけではないと思いますが、商品名にしろ何にしろ、DXといえばこれまでは当然に「デラックス」でした。

でも、最近よく見かけるDXはそのほとんどがデラックスではありません。知ってる方には言うまでもなく、DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」のことで、意味はデジタル技術による業務やビジネスの変革のことを言うそうです。

たとえばコロナ禍の中で急速に利用機会が増えたZOOMやスカイプなどを使ったウェブ会議はDXの一例です。それ以外にも、書類やデータをオンライン上に保管して、ネットさえつながればどこからでもそれにアクセスできるファイル保管ソフトや、紙の書類をデジタルデータに変換するソフト、名刺管理やネットバンキング、クラウド会計ソフトやオンラインでの契約書締結などなど、例を挙げればきりがないくらいのDXツールが現在、巷にはあふれています。最近はLINEなどのSNSが連絡手段のメインになりつつあるようですが、広く使われている電子メールだってもともとはDXツールのひとつですよね。

こうしたDXツールは使う側からみると大変便利なものが多く、まさに業務の変革を促してくれるものですが、自分のビジネスとの競合という点からみると脅威になる場合が少なくありません。先日、弊社の本店がある旭川の中心市街地を歩いたんですが、昔はたくさんの人でにぎわっていた歩行者天国に人がほとんど歩いておらず、商店街の寂れ具合に今更ながら驚きました。

もちろんコロナ禍の影響もあるとは思いますが、インターネットで買い物ができるようになった影響は小さくないですよね。20年ほど前までは存在してなかったLINEのような会社があっという間に上場するまで成長する一方、現在の時流に乗り遅れた既存のビジネスは今後ますます淘汰されていくかもしれません。ITは苦手だから、なんてことは言ってられなくなってきているんでしょうね。

 先日、東京都内で乗ったタクシーの車内動画広告で、元SMAPの稲垣吾郎さんが出演するCMがDXのアプリを扱っている会社の広告でした。稲垣さんが部下と思われる男性に、「やっぱりデラックスだよねー」と言うんですが、それを聞いてる男性は「また間違ってる・・」と心の中で思います。で、CMの終盤で稲垣さんが「やっぱりデジタルトランスフォーメーションだよねー」と言うと、部下の男性は「直ってる・・」と思うCMです。思わず笑っちゃったんですが、ひょっとして若い方々とはこの面白さを共感できないんですかね?

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