西俊輔の「毎日楽しく」

もう経営戦略も経営計画もいらない?

みなさん、ショッピングサイトのアマゾンは利用されてますか? おそらく、一度も利用したことがない、という人はほとんどいないのでは? と思われるぐらい社会のインフラになった感じのある同社のサービスですが、アマゾンが世界のトップ企業になれた理由、という経済雑誌の記事が興味深かったので今月はこれをご紹介したいと思います。

 まず、私は知らなかったことなんですが、アマゾンという会社は実は毎年、新規事業にチャレンジしているんだそうで、その数は1年間になんと70! そして驚くのは、そのほとんどが失敗に終わっていることで、1年半くらいで撤退しているんだそうです。

普通、これだけの新規事業を手掛けると、うまくいくかどうかという問題の他に、自社の既存事業との共食いという問題も起きそうなものですが、先日退任したアマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスさんは、「もっと既存事業との共食いを起こせ」と言ってたそうです。共食いによって既存事業がつぶれるなら、それこそがイノベーションで、自分たちがやらなければ、いずれライバルがやってしまうかもしれないことを恐れての発言だったそうです。

そのため、同社では計画や戦略を立てる前にまずやってしまう、というのが企業の文化として根付いているようで、よく言われる「PDCA(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善))」の「P」が無くて「D」から始めるイメージのようです。現代はビジネス環境の変化が激しいとよく言われますが、特に、新しいデジタル技術が台頭することによって既存事業が一瞬で無くなってしまうことも珍しいことではなくなりつつありますから、そもそも近い将来を予測することすら困難で、計画も戦略も立ててる場合じゃない、ということなんでしょうかね。

ただ、こうした行動に耐えうる組織や企業文化、人材を準備するのは簡単なことではなく、そこで重要となるのが「ビジョン」だと、この記事を書いた大学教授は指摘しています。すなわち、「未来に向けて自分たちはこういうことをやりたい」という思いです。ちなみにアマゾンのビジョンは、「自分たちのユーザーに可能な限り便利な体験を提供したい」というものだそうで、それを実現するためにはどんな挑戦をしても構わないというわけです。

日本の企業には、こうしたビジョンを持ち、それを全社的に浸透させてるところが少ない、と、この教授は指摘してますが、これは必ずしも大企業だけではなく、中小企業でも参考になる考え方だと思いますが、みなさんはどう思われますか?

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