西俊輔の「毎日楽しく」

情報は正しくても

日本には「干支」がありますので、年明け早々はその年の新しい干支がニュースなどでは話題になりますよね。

今年は寅(トラ)年でしたから、そういうわけでこの時期はトラにまつわるニュースをいくつか見かけました。その中に、あまり愉快ではないニュースですが、人がトラに襲われてケガをした、というニュースがいくつかありました。

栃木県の那須サファリパークで3名の飼育員の方々が飼育していたトラに襲われてケガをし、そのうちのお一人はけっこうな重傷を負ったというニュースがありました(幸い、命に別状はなかったようですが)。

またそれ以外に、海外でもやはり人がトラに襲われてケガをした、というニュースをいくつか見ました。ただ、ふだんはこうしたニュースをあまり見かけませんから、それらのニュースを見た私の第一印象は、「トラによる事故が増えてるのかな?」というものでした(私だけかな?)。

でも、当たり前ですけど、寅年だからこうした事故が増えてるわけではなく、これは単に、寅年だからニュースとして取り上げる機会が増えてるだけですよね?(たぶん) あるいは、寅年ということで例年には無いトラに関わるイベントが増えていて、それで事故そのものも増えてるのかもしれませんが、ただこれは日本に限ったことで、寅年と関係のない海外では、きっとふだんから、同じような確率でトラによる事故は起きてるけど、日本でそれを報道しないだけなんでしょうね。

そう考えると、個々のニュースは公平中立に報道されていたとしても、たくさんあるニュースの中からどれを取り上げて報道するかということ自体に私たちの印象が影響され、トラによる事故が増えてるのかも、という、ひょっとしたら間違った印象を持つ私のような人が出てくるかもしれませんし、その程度がひどいと、本人が気づかないうちに「洗脳」されることもあるのかもしれません。

一見して、それはおかしい、と思えるフェイクニュースのようなものなら大丈夫かもしれませんが(最近はそれもあやういですけど・・・)、報道の内容自体は正しいけど、それを取り上げる頻度やタイミングによっては、間違った印象を植え付けられるかもしれないというのは、なかなか難しい問題です。

これは以前なにかで目にしたことですが、放火や殺人など、最近は凶悪な事件が増えてるという印象を持ってる人が多いと言われますが、実際には、こうした事件の数は間違いなく年々減っていて、昔なら多すぎて報道できなかった事件も逐一報道するようになったために、そういう印象を持つ人が増えたという側面もあるそうです。そう考えると、多くの情報があふれる現在、世の中を正しく見ることはすごく難しいことなのかもしれませんね。

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