西俊輔の「毎日楽しく」

囚人のジレンマ

「囚人のジレンマ」という理論をご存知ですか?

これは経済学におけるゲーム理論の中の代表的な考え方で、たとえば次のようなものです。

 

囚人B

自白する

自白しない

囚人A

自白する

懲役5年

Bが懲役10年
Aは無罪

自白しない

Aが懲役10年
Bは無罪

懲役1年

 今、たとえば同じ事件の関係者として容疑者(囚人)Aと容疑者Bがそれぞれ別々の取調室で取り調べを受けてるとしましょう。AとBはお互いの様子を見ることはできません。取調官は次のような条件を容疑者に提示しました。「もう一方が自白しないまま、あなたが自白してくれれば、あなたは無罪にしてあげましょう。その場合、もう一方は懲役10年になります。でも、あなたが自白しないままもう一方が自白してしまうと、あなたは懲役10年になってしまいますよ。ただ、2人とも自白した場合はそれぞれ懲役5年、2人とも自白しない場合はそれぞれ懲役1年となります。」

囚人Aにとっても囚人Bにとっても、お互い最も有利なのは自分が自白して相手が自白しないケースです。でも、相手が自白しないかどうかはもちろんわかりませんし、もし、自分が自白しないまま相手が自白してしまうと、相手が無罪になる一方で自分は最も不利な懲役10年になってしまいますから、選択肢としては自白するしかありません。そしてこれはAもBも同じように考えますから、結果として2人とも自白することになり、それぞれ懲役5年となるわけです。でも、表を見ればわかるように、2人とも自白しなければ次に有利な懲役1年で済むにもかかわらず、実際はそうはならないために、これを囚人のジレンマとよんでます。

この原稿を書いてる現在、まもなくロシアがウクライナに対して軍事侵攻を始めてしまうのではないか、なんてことが言われてます(みなさんのお手元にこれが届く頃、戦争が始まってないといいんですが・・)。囚人のジレンマはお互いを信用できないために、結果的にみんなが損をしてしまうことを表してますが、今のウクライナの状況はまさにこんな感じですよね。戦争で得をするごく一部の人を除き、多くの人にとって決して得にはならないのに・・

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