西俊輔の「毎日楽しく」

能力の使い方を間違ってる

ここ最近、持続化給付金など、コロナ禍で苦戦する事業者などを支援するために国から支給される給付金を不正受給した人たち、の摘発が話題になってます。10億円もの巨額の不正受給をした人もいれば、現役の国税局職員が逮捕されるケースなど、驚くような事例が続々と明らかになってきてます。制度開始当初からこうした不正受給の問題は国側も認識していたようですが、困っている人たちに少しでも早く支給するという緊急性を重視して受給のハードルを下げたために、こうした不正受給が容易になったと言われてます。だからこそ、今度は不正受給者の摘発に力を入れていて、それが最近の摘発者の増加にもつながってるようです。

それにしても、こうしたニュースをみるたびに思うのは、こういう悪い知恵を働かせる人たちが、その知恵をまっとうな方向に使えばいいのに、ということです。決して賞賛するわけではありませんが、でも、10億円もの給付金を不正受給する能力と熱意って相当なものだと思うんですが、なぜそれを良い方向に使わないのかな、と思っちゃったのは私だけでしょうか? たしかに、そういう悪い分野は競争相手がそれほど多くないでしょうから、強力なライバルがひしめくまっとうな世界よりも簡単に稼げるということはあるのかもしれませんが、でも、能力と熱意を使う分野を完全に間違ってますよね…。

以前、何度か書いたことがある、京セラ創業者の稲盛和夫さんがよくお話されていた「人生の方程式」というものをここでもう一度ご紹介したいと思うんですが、その方程式とは、「人生や仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力」というものです。

たとえば、能力がすごく高くて100ある人が、その能力に慢心して熱意が10ぐらいしかないとその掛け算の結果は1,000となる一方、能力は50とそれほど高くないけれども、その分、人一倍努力する人の熱意が80だとすると、その掛け算の結果は4,000となり、能力に勝る人よりずっと良い結果を出すことができる、ということを表している方程式です。

そしてこの方程式のポイントとなるのが「考え方」です。プラス1~100までしかない熱意や能力と異なり、この「考え方」だけはマイナス100~プラス100まであるそうで、たとえば、悪い考え方をする人はマイナスの数値となり、方程式が掛け算なもんですから、熱意と能力があればあるほど恐ろしい結果になることを表しています。多額の不正受給をした人たちはまさに、せっかくの能力や熱意をマイナスの考え方で台無しにした人たちだったと言えるのかもしれませんね。

一覧に戻る