西俊輔の「毎日楽しく」

一生勉強

先月からいよいよ消費税のインボイス制度が始まりました。取引先からインボイス(適格請求書)をもらわないと消費税の納税額が増えてしまうというのがこの制度のポイントのひとつなんですが、詳細は弊社の「ふたば便り」を読んでいただくとして、ここでは、某国営テレビでのインボイス制度の解説内容について気になったところがあったので取り上げたいと思います。

インボイス制度は、10%、8%という複数税率が適用されている現在、これに適切に対応するために導入される制度、という国が公表している理由をそのままテレビでも説明していましたが、複数税率に適切に対応するためということでいうと、インボイス制度が導入される前(今年の9月30日以前)からすでに導入されていた「区分記載請求書」というもので実は十分に対応できてました。この区分記載請求書と適格請求書(インボイス)はその記載内容がほとんど変わらないからです。

すなわち、ご存知の方も多いとは思いますが、インボイス制度導入の本当の目的はそこではなく、売上(正確には消費税がかかる課税売上)が1,000万円以内で消費税の納税を免除されている事業者(免税事業者)を課税事業者として登録させ、これまでは免税事業者のサイフに入ってしまっていた売上先から預かった消費税を国に納めさせようというのがインボイス制度の本当の目的です。以前の区分記載請求書は免税事業者を含めて誰でも発行することができましたが、インボイスは免税事業者が発行することを認めず、消費税を納めている課税事業者のみが発行できると定めたからです。

いっそのこと、売上1,000万円以下の事業者は消費税を納めなくてもいいという免税事業者制度を廃止する、と言ったほうがよっぽど潔いんですが、そうするとそれは国による強制になってしまいます。インボイスを発行できる課税事業者になるかどうかはあくまで事業者の自由として、でも課税事業者にならないと取引先に迷惑がかかるし、登録すればこれまでは納めてなかった消費税を納めなければならなくなるという、免税事業者にとっては非常に苦しい選択を迫るのがインボイス制度です。

こうした、報道のウラに隠された本当の目的や事実というものはなにもインボイス制度に限ったことではなく、あらゆるところで見られることだと思うんですが、これを理解するためには私たち自身も相当勉強をしなければなりません。ただ、世の中のあらゆることを自分一人で勉強するわけにはいきませんから、結局、池上彰さんのような方が頼りにされることになるんですかね・・・(池上さんが忖度なしにすべて話してるかどうか私は知りませんけど)

一覧に戻る