毎日楽しく!ブログ版

株式の評価方法が変わる?

2024年09月27日

会社の株式を相続する場合や贈与する場合、税務上、その評価額の計算については財産評価基本通達というもので定められています。特に、上場していない会社の株式には「時価」というものが存在しませんから、会社の規模や純資産の金額、同業他社の株価などをベースにしたこの通達に従って税金を計算するのがルールとなってますし、相続や贈与だけでなく売買する場合でもこの評価額を使うケースは多いです。で、この通達に従って計算した株式の評価額をめぐって国と納税者が争った裁判が話題になってます。

納税者側はこの通達に従って株式の評価額を1株約8,200円ほどと算定し、それに基づき相続税を納税しましたが、実は相続人が相続税を納税する直前にこの株式を外部に売却していて(これは相続が発生するずいぶん前から元々予定していた売却で、売却したこと自体はなんら問題ありません)、その売却価格が相続税評価額の12倍となる1株約105,000円ほどでした。そこで国税側は通達に基づく評価額と実際の売却価格の間に差がありすぎるとして、通達の中にある特例条項を使って1株約80,000円ほどと算定し直し、追加の相続税4億円を求めて納税者と争ってました。一審の東京地裁では納税者側の勝訴、二審の東京高裁でも納税者側が勝訴して国は2連敗となり、最高裁への上告も諦め、この結果で確定しました。

これを受けて、財産評価基本通達による株式の評価ルールそのものが今後変わるかも、ということも話題になってるんですが、はたしてどうなりますか。株式の評価額が高くなってしまうと、納税者側は納税資金を準備できなくなってきますから(上場株なら売ってお金を作れますけど上場してない株は売れないですからね)、ルール変更は慎重に考えてほしいですけどね。

一覧に戻る