2013年10月号 Vol.98
私が好きな言葉のひとつに、「一期一会」という言葉があります。
意味は説明するまでもなく、一生に一度しかないような不思議な縁、あるいは、与えられた機会は一生に一度だけのものと心得て相手に対して誠意をつくすという意味で、もともとは戦国時代の茶人として有名な千利休の高弟の山上宗二という人の言葉だそうです。
現在の世界の人口は約70億人と言われているそうで、日本だけでも1億2千万人以上の人がいるわけですが、私たちが一生のうちで出会えるのはそのうちのほんの一握りの人たちだけです。
そういう意味では、私たちがこれまでに出会った人たちというのは、奇跡的な確率で出会った人たちばかりと言えます。
偶然と言ってしまえばそれまでですが、何億人、何十億人という中からせっかく出会った人たちなんですから、そうした「ご縁」を大切にして生きていくことはすごく大切なことだと思いますし、社会的に活躍されている人たちの中には、そうしたご縁を大切にしてきたということをおっしゃる人たちが多いようです。
ただ、ご縁を大切にする、といっても、それは自分にとって重要と思われる人との出会いだけを大切にするということでは決してなく、すべての人との出会いを大切にするということだと思います。
出会ったそのときには、それが自分にとって重要な出会いかどうか判断がつかず、後から振り返ってみてそうだと気付くことが多いからです。
また、たとえ後から振り返ってみて重要な出会いではなかったとしても、それが本当に意味のないものだったかどうかというのは、結局のところわからないものです。
自分の気づかないところで意味を持つ出会いというのもたくさんあると思われるからです。
私自身のことを考えてみても、人生の方向性を変えるきっかけになった人との出会いというのは、意識して思い出せば1人や2人ではないですし、おそらく、私自身が気づいてない重要な出会いというのも少なくないと思います。
残念なのは、私がそうしたご縁をこれまで本当に大切にしてきたかどうか、自信が持てないことです。
みなさんにも日々、そうした出会いがあると思いますが、みなさんはそれを大切にしていますか?