西俊輔の「毎日楽しく」

マイクロソフトの週休3日から考える我々の働き方|2020年3月号(Vo.175)

先月の新聞記事に、昨年2019年8月に日本マイクロソフトが週休3日制を試験的に導入した結果、社員1人あたりの売上が4割も増えた、という話題が出てました。

対象者は約2,300人の全社員で、給与水準は導入前と変えず、各社員の方々は有給休暇も取得していたため、就業日数は前年比で25%も減っていたそうです。

ただ、昨年の8月というと、ちょうどウィンドウズ7のサポート終了前で、ウィンドウズの買い替え需要が多かったことによる売上増加という側面も否定できないようですので、4割増えたという1人あたり売上のすべてが生産性の向上によるものだったとは言えないかもしれません。

それでも、不要不急の仕事を仕分けして、30分以内で終わらせた会議の比率は前年比で50%近くも増えたそうですから、同社が言ってるように、生産性が向上したことそのものは事実のようです。

休日が増えても売上や生産量が変わらないのであれば、個人による消費が増えて経済全体にとってもプラスの影響が出るかもしれませんから、こうした会社は世界的にみれば今後増えていくのかもしれません。

 休日を増やすことで良い結果を出している会社では、従業員のストレスレベルが減り、家族と過ごす時間が増えてリフレッシュできたり、自己啓発の時間を持つ余裕ができたりすることがそうした結果につながっているのでは、という分析をしていましたが、翻って働き方改革が話題の日本ではどうかというと、もちろん、週休3日制の導入がすすんでいるとは言えない状況で、私自身もそうした会社を身近に見たことはありません。

そもそも日本ではパートタイマーなど労働時間に応じて給与が決まる人が多いですから、労働時間の短縮はそのまま給与の減額につながるため、逆に経済が低迷する可能性があるという見方もあるそうです。

日本では1990年代に現在主流の週休2日制が定着したそうですが、このときも、導入前と比べて経済の停滞を招いたという学者さんの分析結果が出ていました。

政府主導で月末の金曜日に早期帰宅を推奨する「プレミアムフライデー」という「週休2.5日」を目指す試みも、いつのまにか聞かなくなりましたしね。

 特にサービス業の生産性が世界と比べて低いと言われる日本ですが、マイクロソフトのように、労働時間に対して給与が払われるのではなく、成果に対して払われるという意識改革をし、休日の増加を業務全体の見直しをするきっかけにすることができれば、この週休3日制はいいチャンスになるのかもしれません。

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