日本の生産性は中小企業の淘汰でアップする?|2021年1月号(Vo.185)
あけましておめでとうございます。昨年はコロナで大変な1年になりましたが、今年もまだしばらくは収まりそうにありませんね・・・。ワクチンの接種がいつ始まるのか、経済への影響が大きい自粛生活はいつ解消するのか、そして延期されている東京オリンピックは無事開催することができるのか、などなど、気になることは多々ありますが、今年こそはみなさまにとって良い一年になりますよう、心からお祈りしております。
さて、報道各社による世論調査によると、菅内閣の支持率が急激に下がってるようです。Go Toキャンペーンを停止するタイミングが遅い、国民には会食の自粛をお願いしておきながら自分たちは会食三昧の生活を送っている、菅さんが官房長官を務めた前政権時代の農水大臣の献金疑惑、そして安倍前総理の懇親会費負担疑惑などなど、必ずしも菅さん本人の責任とは言えないものまで含めて、とにかく支持率が思わしくありません。
もともと、会食などを通じて民間人を含むいろいろな人の意見を聞いて、それを政策運営に生かすスタイルと言われる菅さんのやり方は、このコロナ禍の中では裏目に出てしまっているのかもしれませんね。その菅さんのブレーンとして、菅さんもその意見を政策に取り入れてると言われている人に、デービッド・アトキンソンさんという人がいます。
ゴールドマン・サックスという金融会社に在籍していたころに書いた日本に関するレポートで注目されたアナリストで、現在は日本の国宝や重要文化財の補修などを手掛ける小西美術工藝社という東京の中小企業の社長を務めるイギリス人です。日本のGDPが現在、世界第3位となってるのは日本の人口が多いからであって(中国、インド、ロシア、ブラジルを除くGDPのトップ10か国のうち人口が1億人を超えてるのはアメリカと日本だけ)、国民一人当たりのGDPで見れば日本はなんと世界で第28位なんだそうです(2018年)。
おまけに、他のどの先進国よりも速く、また大きな減り方で人口が減っていく(それも15歳から64歳という生産年齢人口が最も減る)状況の中、今後猛烈な勢いで国民の負担が増えていく社会保障費などを賄うためには、日本の生産性を上げるしか方法はなく、そのためには生産性の低い中小企業を減らし、中堅・大企業を増やしていかなければならない、という、見方によっては若干過激な意見を持っている人です(ご興味があればこの人の「国運の分岐点」(講談社α新書)という本をお読みください)。
本当に中小企業を淘汰・統合すべきかどうか私にはわかりませんが、経済環境と日本の財政状況の厳しさはまだまだ続くと思われますから、会社の生産性を上げなければならないことは間違いなさそうです。