科学者の罪と政治家の罪
今年のお盆休みはコロナ禍ということもあり旅行などには行きづらかったですから、近場へのお出かけ以外、家でおとなしくしていた、という方はきっと多かったですよね? 私もそういう過ごし方でしたが、そうなると、本を読むか、家で映画を見るか、テレビを見るか、ということになりますが、今年は終戦日前後に放送されていた戦争関連のテレビを割と多く見ました。
かなり以前、この「毎日楽しく」では、地球という大きな単位からみると、戦争もまた人間の数を抑制する調整弁という見方があることをご紹介したことがありますが、最近読んだ本によれば、その調整弁が働かなくても、現在、世界中で見られる「少子化」という別の調整弁が働くよう自然はうまくできているようですから、戦争など無くても人口が増えすぎる心配は無いそうです。
したがって当たり前ですが、戦争など無いほうがいいに決まってます。それでも、現在も世界のどこかでは戦争(のような争い事も含めて)が起きてますし、先の第二次世界大戦では原爆が世界に衝撃を与えました。日本は世界で唯一の被爆国ですが、その日本も実は第二次大戦中に原爆の研究をしていたそうで、その研究の中心にいた荒勝文策さんという京都大学の物理学者に焦点をあてたテレビ番組を見ました。
ちなみに、この研究チームには、のちにノーベル物理学賞を受賞する湯川秀樹さんもいたそうですが、湯川さんご本人は原爆研究のことを生涯語らなかったそうです。それはもちろん、もともとは人類繁栄のために考えられた理論や技術が、戦争の道具として使われたことに対する科学者の後悔や罪の意識のせいです。アメリカの原爆開発の中心人物で「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマーという科学者も、日本の広島と長崎への原爆投下を見て、「科学者(物理学者)は罪を知った」という言葉を残したことは有名です。
日本では毎年8月6日と9日ごろになるとテレビでは必ず原爆に関わるテレビ番組などが放送されますが、何度見てもこれは本当に悲惨な出来事でした(死者数だけでいうと実は東京大空襲など、通常の空襲による死者数も原爆に負けないそうですけど・・)。最近、人間と同じような動きができるロボットの開発がさかんに報道されるようになりましたが、これなども、近い将来の軍事転用の可能性を考えると、なんだか素直には喜べません。
車の免許更新時の研修と同じように、各国の政治家や指導者の方々は、過去の戦争の悲惨な映像などを定期的に見ることを義務付けたらいいのに、なんて思ってしまいます。