京セラ稲盛さん逝去 その2
(前月の続きです)
会社を経営していく中で稲盛さんが持った経営者としての覚悟とは、技術屋としての自分の技術を世に問うという思いはいったん脇に置き、自分の会社で一緒に働いてくれる社員たちの幸福追求を会社の第一義として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」という経営理念を掲げたことです。
その考え方などから、経営の神様と呼ばれたパナソニック創業者の松下幸之助さんと同列に扱われることもある稲盛さんですが、実際にはかなり激しい性格で、令和の今ならパワハラになりそうなエピソードは数えきれないぐらいあります。また、哲学的な言葉を多く残されているせいか、宗教っぽくとらえられることも多いのですが、残された言葉には経営のヒントがたくさん詰まってると思いますので、これまでの「毎日楽しく」ですでにご紹介したものも含めてあらためて取り上げてみましょう。
「人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力」という人生の方程式は、能力に劣る人でも熱意を持って事にあたれば結果を残すことができるが、後ろ向きな考え方(マイナスの考え方)を持つとすべてが台無しになってしまうことをあらわしている
この「考え方」については次のような言葉も残されてます。
自分が置かれた厳しい環境をネガティブにとらえて卑屈になり、恨みつらみを募らせるのか、それとも、自分を伸ばしてくれる機会ととらえるのか、そのどちらを選ぶかによって行き着くところが大きく異なるのは仕事も人生も同じことだ
ビジネスだから儲けたいという欲を持つことは当然だが、それを自分だけの私欲(小欲)にとどめてはならず、社員はもちろん他社や世の中全体の利益を図る大欲を持つことが大切だ
なお、稲盛さんはよく、心を高めるとか心をきれいにしなければならないということもおっしゃってましたが、それだけで経営がうまくいったり、会社の業績が良くなると誤解してはいけない、ということもご本人みずからおっしゃってます。会社の業績を良くするためにはまず、誰にも負けない努力をしなければならないとのことですから、この点を忘れてはいけないんでしょうね。