企業は社会の公器
少し前まで毎日のように新聞やテレビで報道されていた中古車販売大手のビッグモーターの事件には驚きましたね。保険金を多くもらうために、預かったお客様の車に意図的にキズをつけたとか、資格の無い社員による車検が行われていたとか、安価なタイヤを高級タイヤと偽って取り付けていたとか、ボディ・コーティングをしたといってお客様にその費用を請求していたのに実はコーティングなどしていなかったとか、例を挙げればキリがないぐらいの不正の数々が日に日に明らかになっていきました。
そしてなぜこんな不正が行われていたかといえば、会社による過剰なノルマの設定と、それを達成できなかったときの理不尽な人事考課制度にあったというのが第三者委員会による調査結果だったようです。ただ、これらは売上を増やそうという意図で行われた不正でしたが(もちろんそれも問題外ですが)、さらに驚いたのは、全国のいろいろな店舗の前にある街路樹が次々に枯れていた件です。こちらは社内で「環境整備点検」という名のもとに行われていた雑草駆除が原因で、店舗前に少しでも雑草が生えていると、それだけで店長が降格になったりするという信じられないぐらい理不尽な人事が原因だったというから、もう、なんと言っていいのかわかりません・・・。
ここにいたってこの会社に対するイメージとして「反社会的勢力」という言葉が浮かんだのはきっと私だけではなかったですよね?(「反社」はもちろん本来の意味は違いますけど・・・) また、こうした問題が起こるきっかけを作った中心人物と言われている創業社長の息子さん(前副社長)が公の場に一切出てこないのにも驚きましたが、創業社長の記者会見にも驚きました。ゴルフボールを入れた靴下を振り回して車をキズつけていた件については、「ゴルフを愛する人たちに対する冒とく」なんて発言をしていたそうですが、「いや、そういうことじゃなくて・・・」と多くの人がテレビの前でツッコんでいたと聞きました。ギャグとしてはかなり面白いんですが、この場合はもちろんまったく笑えませんけどね・・・。
パナソニック創業者の松下幸之助さんはかつて、「企業は社会の公器」と言いましたが、会社は社会が求める役割を担い、よりよい社会を作っていく責任があり、売上や利益はそうした会社の活動に対する社会からの評価をあらわすもの、と考えれば、売上や利益を増やすこと自体を第一に考えることがそもそも間違っている、とも言えそうですが、みなさんはどう思いますか?