西俊輔の「毎日楽しく」

2016年7月号(Vol.131)

イギリスのEU離脱が話題ですね。多くの人が、残留を支持する側の勝利を予想していたようですから、意外な結果に世界中が驚いています。なにしろイギリスはドイツ、フランスと並んでEUの中では重要な国ですから、他の国が離脱するのと比べてEUそして世界に与える影響が大きいようです。ただ、今回のイギリスの国民投票には不思議な点がいくつもあったようです。

まず、離脱派を率いた前ロンドン市長のジョンソンさんという方が、ほんの少し前までイギリスのEU残留を支持する人だったということです。実際、今回の勝利で離脱に投票した国民は喜んでいますが、当のジョンソンさんはあまり喜んでいないようだとも言われています(大勢の残留派の人たちに自宅にまで押しかけられて厳しい言葉をかけられていることも喜べない原因のようですが)。

また、離脱後のイギリスがどうなっていくのかという道筋をこれまで口にしていないそうで、勝利するとは思ってなかったのでは? とも言われているそうです。

離脱派の急先鋒だった別の議員さんなども、選挙期間中、離脱することができれば、EUに支払ってきた拠出金をイギリス国内の医療制度に充てることを公約にしてきたにもかかわらず、離脱派の勝利後、あの公約は間違いだったと言って大きな批判を浴びましたが、離脱派を率いていた人たちがどれほど本気で勝利する気だったのかという疑問は他にも多くあるようです。

これはあくまでマスコミの推測ですから本当のところはわかりませんが、離脱派を率いてきた人たちは、本当は今回の勝利を望んではおらず(本当はEUから離脱するのが良いとは思っておらず)、僅差で負けて、自らの政治的な存在感を高めることが目標だったのではないかという見方もあるようです。

特にジョンソンさんという人は残留を支持してきたイギリスのキャメロン首相とはずっと盟友だったにもかかわらず、ライバルだったキャメロンさんが先に首相となったことに対して強い対抗心を持っていたそうです。もしこの見方が真実に近いとすれば、イギリスという国の行方を決める重要な選挙が、個人の権力闘争のダシに使われた可能性もあるということです。

もちろん、政治はキレイ事だけではありませんし、こうしたことは日本を含め、世界のどこでもあることでしょう。ただ、私たちも気を付けなければならないのは、自分たちの投票によってどういう結果になるのか、少しでも多くの情報を集めて、ちゃんと勉強して投票しなければならないということですよね。

日本でももうすぐ参議院選挙ですが、つくづく、民主主義というのは難しい。

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