西俊輔の「毎日楽しく」

2013年11月号 Vol.99

私たちの会計事務所が所属するある団体を運営している会社が、タイに行く研修ツアーを企画しまして、先月、そのツアーに参加してタイのバンコクに行って来ました。あまり海外に行った経験のない私はタイに行くのが初めてでしたから、研修の内容はもちろん、見るものすべてが勉強になりました。

3年前にも研修ツアーで中国に行ったことがあるのですが、当時、海上保安庁の巡視船に中国の漁船が体当たりする事件が起きた直後で、日本では連日ニュースで大きく取り上げられ、中国との関係が悪化していた(と言われていた)時期だったため、実際に行くまでは「大丈夫かな?」とちょっと不安だったのですが、行ってみればなんてことはなく、現地のガイドの人が言うには、多くの中国人はそんな事件のことなど知らない、とのことで、やはり実際に行ってみないとわからないものだということを学びました。

それと、日本での報道を鵜呑みにする危険性についても学びました。もちろん、日本のマスコミがうそをついているというわけではなく、たとえ数千人、数万人の人がデモを行っている映像を見たとしても、それはごく一部の人の行動に過ぎず、その国の全体像をあらわしているわけではない、ということです。

そこで今回のタイですが、熱心な仏教国であり、温厚でいつも笑顔を絶やさない微笑みの国と言われているのは有名ですが、一部を除いて印象としてはまさにそのとおりでした。

一部というのは、車の運転です。みなさん、車の運転がびっくりするぐらい荒くて、慣れるまではけっこう怖いです。ただ、みなさん、あれだけ強引な運転をしているにもかかわらず、車のクラクションがほとんど鳴っていないのは驚きでした。そういう意味ではやはり温厚な人柄なのかもしれません。

日本やアメリカなどの先進国では、経済至上主義の考え方が支配的で、とにかくみんなよく働きます。一方、タイの人たちにとって働くということは生活していくための手段にすぎず、仕事を通じて自己実現を図るとか、世のため人のために働くといった感覚は、多くの人にとってあまり理解できない考え方のようです。

したがって多くの人たちはあまり一生懸命働かないそうで、当然、経済的には貧しいわけですが、でも実は、人口比で見た自殺者の数は日本よりはずっと少ないんだそうです。経済的には豊かだけれど、多くの人が自殺する日本と、貧しいけれど多くの人が生きることに絶望していないタイと、いったい、どっちが幸せなんでしょうかね?

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